30話 仕事を辞める、そして離婚までの経緯 8(ブラックリスト事件・CICでの個人信用情報の開示)

結婚と離婚
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前の記事のつづき)

離婚調停は一か月以上先・・
とりあえずそれは置いておいて、

私が次に考えたことは
『早く住むアパートを探さなきゃ』ということでした。

実家の二階が2部屋開いていたので(昔の弟と私の部屋)、とりあえずはそこに子供達と3人で寝泊まりさせてもらうことにしましたが、
いつまでも居候というわけにはいきません。
・・というか、絶対に実家に居続けるのは嫌だという気持ちがありました。
上手くいかないことがわかっているからです。

たまに会うのと一緒に暮らすのではわけが違います。
しかも結婚前と違って、今回私一人ではなく、子供達もいます。
当時子供達は小学校4年生(弟)と5年生(お姉ちゃん)でしたが、けっこうやんちゃな子達ですし、全てが母の思ったように行くわけではありません。
気に入らないことがあれば、母が昔のように頭ごなしに怒鳴ったりヒステリーを起こす可能性は非常に高いです。
・・かといって私が子供達のことを、母に怒られないように全て制することができるかといえば、
普通に育っている元気な子供なら、親が全部が全部完璧に管理して言う事をきかせるなんてことは無理がありますし、
そもそも私にはそんなふうに子供達に接する気がさらさらありませんでした。
・・そんなこんなで、どう考えても『ここで暮らすのは無理』というのが私の考えでしたし、
まあ何か問題が起こる前に一刻も早くアパートを探して出て行こうと思っていました。

私は3人で暮らせる安めのアパートを、知り合いの不動産屋さんに頼んで探してもらうことにしました。
そして小学校に近めのめぼしい物件を2~3件紹介してもらって見て回り、早速決めてしまおうと思っていました。

ところが、どこに申し込んでも審査に通らないのです。
審査というのはアパートの大家さんが契約している賃貸保証会社の審査です。
(今の賃貸契約は保証人を立てるのではなく、賃貸保証会社を通すところが増えているらしいです)
ここがダメならあそこ、という感じで何件か申し込みしてみたのですが、ことごとく落とされます。
・・これには知り合いの不動産屋さんもどうしようもないといった感じでした。

なぜ審査に落とされるのか・・・
思い当たる節が全くなく、私はまた頭を抱えることになります・・。

そしていろいろ考えた結果、
『もし何か原因があるとしたら自分の信用情報に何か問題があること以外には考えられない・・』
というところに行きつきました。

・・とは言っても、何年か前までは普通にクレジットカードも作れていたし、
私自身に何か借金があるわけでもない・・
ただ、カードは何枚か持っていたので、全部をきちんと管理できているかは正直あやふやでした。
なので私は自分の持っている全てのカードの状態を把握するために整理してみることにしました。
カードの状況を把握する方法として調べたのが、CIC(信用情報機関の一つ)という機関で手続きして、自分の信用情報を開示するというやり方です。
開示はネットで簡単にできました。たしか料金が1000円くらいかかったと思います。
一応もう一つの機関JICCという所にも申し込みしたのですが、こちらは何日か後に郵送で送られてくるということで『同じだろうしまあいいか』といった感じです。

そして開示してみてびっくり。
なんとカードの中の一つの表記が明らかにおかしなことになっています。
『A』という文字がいくつか並んだ後に『異動』という文字です。
なんじゃこりゃ~~と調べたところ『A』は未入金の意味、『異動』とは過去三か月の支払い延滞によってブラックになったということらしいではありませんか・・

『一体何を延滞したんだ???もしかしてまだ未払いのものがあるのか???』
不安になった私は即座にその異常のあるカード会社に電話して訊きました。

そしてわかったのが、
何年か前に3か月以上何かのローンの引き落としが滞ったことがあって、そのためカードが解約されたこと、
その後何かで連絡が来て残りのローンを支払って支払い自体は3年前に完了しているとのこと。
・・・です。

驚くことにすっかり忘れていたのですが・・
思い返してみると、私はかれこれその5年前くらいに、引っ越して来る前のアパートに居た時に30万円もする浄水器をカードローンで買ったのでした。
支払いはその町にある地方銀行の口座から落としていました。
そして、あと2回で全ての支払いが終わる、という時にちょうど引っ越しになったのです。
・・なので私はその2回分の金額をその銀行の口座に入れ、引き落としできるようにして、そのまま引っ越し、
引っ越し先の町に支店のないその銀行はもう使わなくなってしまったので確認もしていなかったのです。
・・が、残り2回と思っていたローンの引き落としが、実は3回でした。
その残りの一回(2万円くらい)が銀行の残高が足りないため引き落としできなくて、それがずっとそのままになっていたのを知らずに放置していたのです。
そして3か月が過ぎ、ブラック・・・
という流れです。

2万円くらいなので、後から直接請求が来て普通に支払いを終わらせたのもありすっかり忘れてしまっていたのですが、
まさか3か月以上滞納していて、ブラックリストに載るような事態になっているなんて夢にも思っていませんでした。

しかし金額云々ではなくブラックリストはブラックリストです。
ブラックの表記がある限りは信用情報はバツです。

ブラックリストに載ったのは3年前。
消えるまでに5年かかるということで、
私は実にあと2年もの間、信用情報を使った審査はどれも通らない、ということになっていたのでした。

私はまたしても絶望しましたが、
・・それでも『信用情報を使わない賃貸だってあるはず!』と、不動産屋さんに食らいつきました。

しかしこれを見ていた母は私に言ったのです。
「そんな母子家庭でお金もないのになにアパートなんか借りる気になってる事自体がダメなんじゃない?
ここにいればお金も貯められるし、不自由だってしないでしょう?
ほんとに贅沢する気ばかりになって。もっといろんなこと我慢しなきゃだめ!無駄なことはするんじゃない!
借りられなくて良かったのよ!借りるなってこと!」

私の心は折れました。
『お金もない』・・・確かにそう・・・
私が母の店でもらっていたお給料はぶっちゃけ8万です。
仕事は何か月か前から再開していましたが、まだ店を受け継ぐための引継ぎやらも何にもしていない状態ですし、母がいつ私に経営権を譲ってくれるのかもわかりません。
それに例え今すぐ引き継いだとしても、自分でやるようになって収入の目安がつくまでどのくらいの期間がかかるかもわかりません。
母子家庭では補助金も出るしいろいろな免除もあると聞いていましたが、それが一体どれくらいなのかもまだ全然把握していませんし、
そもそも離婚もまだしていません・・・。
アパートが決まったところで、2人の子供を抱えて生活が行き詰まったりしたらもうどうしようもなくなります・・・。

そんなこんなでいろいろ考えてしまった結果、結局私は子供達と共に実家に入るぐらいしか選択肢がないような状況になってしまったのです。

・・・この時私は全身の力が抜け、へたり込んで泣きました。
なぜだか家を飛び出した時よりもずっと絶望していました。
それは『母と一緒に住んで上手くいくはずがない』、、程度の普通の失望感のレベルではありませんでした。
・・だってほんとにダメなら2年後のブラックが解除された後にまたアパートを探せばいいだけのことです。
そこまでのことではないはずです。

・・でもそれだけじゃない、もっと大きな何かに対する絶望、、
なにか『2年経ったその頃にはもう、私に実家を出られるだけの自我は無くなっているかもしれない』
というようなおかしな考えが頭を過りました。

お金のない状況で『母に世話になる』という完全に弱者の立場での同居です・・
しかも店のこともある、、
いわば私と子供達の人生は全て母の手の中、ヒステリーで気分によって態度が変わる不安定な母のさじ加減一つで完全にどうにでもなってしまうという恐ろしい状態です。
・・それを考えた時、
それまで忘れていた子供の頃のあの鬱屈としたがんじがらめの毎日、、自分という人間を完全に封じ込めなければならなかったやり場のない思いで過ごした毎日がふと頭を過ったのです。
これは、無力で母の機嫌に怯えながら日々を過ごしていた子供の頃と同じ状態になるということなのではないかと・・。

実家に居るその2年の間に自分がどうなってしまうのか、子供達がどうなってしまうのか・・
それを考えた時私は、えも言われぬ血の気が引くような感覚に襲われました。

そんな状況で生活をすることによって、私の全てが無くなってしまうんじゃないか、自分の存在が消えてしまうんじゃないか・・・
子供達も全く本意じゃない方向へ捻じ曲げられたり押し潰されたりしてしまうんじゃないか・・・
そしてそれを阻止する力、大切な子供達を守る力さえも全て自分から奪い取られてしまうんではないか・・・
自分の人生を自分ではどうにもできなかった、自由などないと思っていたあの無力な子供時代、
絶対に、死んでも、二度と戻りたくないあの檻の中の子供時代のように。
『また私の人生であの時と同じことが起こるのでは・・・』

なにかまるで、不器用ながらも必死になって築き上げようともがいて、やっと自分の手で作り始めた自分の人生と見つけた大事なもの、そして灯りかけた自分のアイデンティティのようなものが、
ここへ来てまた抗うことのできない大きな大きな力の前に、簡単に吹き消されてしまうような、ぺチャッと踏みつぶされてしまうような、そんな恐怖が一気に押し寄せて来たのです。

そこまでの感覚って大袈裟ですね;
・・ですが私にとっては大袈裟ではありませんでした。
その時の私の精神状態が、いろいろあって不安定すぎたというのもありますが(笑)
私は本当に顔を青くしたり泣き崩れたりガクガク震えたりしていたのです。

そしてこの時感じた必要以上の恐怖や絶望・・・
これこそが、実はそれまでの私の人生をずっと、何よりも一番に強く支配し続け、
数々の苦しみを引き寄せてきた諸悪の根源の正体だと後に気づくことになるのです。

それからの実家での生活の中で気づいたことは私のそれまでの人生の集大成でした。
それまでちゃんと向き合うことを避けて何かのせいにして逃げ続けてきたこと・・・・
自分自身を省みようとせず目を逸らし考えようとしなかったこと・・
それらのツケ全てが長い年月をかけて雪だるまのように大きく大きく膨れ上がり、いよいよ満を持したとばかりに自分自身に全部返って来たのです。
それに押し潰されそうになって、それでも大事なものを守るために『押し潰されるわけにはいかない!』と立ち上がり、もがき、戦い、ボロボロになって、プライドも何も捨てて・・
それで初めて、私はようやく自分自身の『間違い』に気付くことができるのです。
正に「目が覚めた」という感じです。

・・・これは私の今まで生きて来た人生の中での最大の『気づき』であると、私は思っています・・・。

今ではこのバカみたいな一連の事件に感謝するばかりです。
ここまでのバカな事件がなければ、40過ぎにしてきっとまだ何も気付くこともなくグルグル不毛な人生を送り続けていたに違いありません。
それを考えるとゾッとします。
というか、そういううんこな私だったからこそうんこな事件を起こしたんであり、全ては起こるべくして起こったことなのですが(笑)
そう考えると、うんこである限り、時期の違いはあれ何らかの事件が私の人生の中で起こるのは必然だったのかもしれませんし、
それが死に至るような事だったりとか、刑事事件に関わるような取返しのつかない事でなかっただけ全然マシだと思うべきなのかもしれません・・。

まあ細かいことを言えば30万円の浄水器購入→ブラックも自分の不甲斐なさが起こした事件ですし(笑)
それもこれも、全てが繋がって現在に至っているのです。
(浄水器の件も購入に至ったところから機会があれば書きたいと思います(笑))

・・ということで実家で起こったことを詳しく書いていきます。

(つづく)

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