28話 仕事を辞める、そして離婚までの経緯 6

結婚と離婚
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前の記事のつづき)

店で再び働き出すと、母は更に家庭のことに干渉してくるようになりました。
(そばにいるのだから当たり前ですが)
私も言われれば母の話を聞き、何か聞かれれば話します。

そしてそれは日に日にエスカレートしていき、
そのうち子供達の教育のことや、家庭での旦那さんの在り方、お金のことなんかも事細かに聞いてくるので喋らざるを得なくなっていました。

もちろん何か喋ればそれについて「あれはダメこれはダメ」「ああしなさいこうしなさい」いろいろ言われて更に不安になるし、
それがとても嫌ではあったのですが、
前にも書いた通り、私は母に訊かれたことは蛇に睨まれたカエルのごとく答えてしまうところがありましたので、
殆どの事を半ば義務のように嘘偽りなく喋ってしまっていました。

それと同時に、母は再びお客さんを巻き込んで私を説得するという技法(笑)を使って私に離婚を強く勧め始めます。

家庭のことでの不安やストレスもありましたが、
店でのこの状態もかなりのストレスでした。
母にいろいろ言われるだけならまだしも、プライベートな問題も何も、全部他人であるお客さん達に知られてしまうという恥ずかしさもありましたし、
その話題が繰り広げられる空間で、なんとも立場のないような居たたまれないようなポジションで仕事をしなきゃいけないというのも辛い気持ちでした。
その当時の私は常になにか悪いことでもしているような、全ての人に責められているような心境で仕事をやっていたのを覚えています・・・。

『離婚しなきゃいけないような状態なのにしていないのでお客さんにまで心配されている』という恥ずかしさと後ろめたさ、
そういう情けない自分への嫌悪感、
その状態自体に対するなんとも言えない罪悪感や焦燥感など・・
いろんなことに私の心はどんどん押しつぶされていきました。

そして『こんなダメダメな状態からは一刻も早く脱出しなきゃいけない』というプレッシャーは私の中でどんどん大きくなっていったのです。

その状態から脱出する方法は・・・
『離婚しかない』、という結論です。
もう私の頭の中ではそうなっていました。

・・なんだかこの頃の私の心の中は最高潮にめちゃくちゃだったように思います。
実はよく考えると前向きに『離婚したい』と思っていたわけではないのです・・・。
過去、親の離婚と再婚によりかなり辛い思いをしてきた私です、
できれば離婚などせず、うまくやれる方法を探したかったし家庭も壊したくなかった・・それが正直なところです。
でも心とは裏腹に頭は『あんな人とは離婚しなきゃいけない』『離婚しなきゃ私と子供の人生はダメになる』という強い思いに支配されてしまっていたように思えます。

当たり前のことなのですが、本当の目的は『良くなりたい』『幸せになりたい』ということだったはずです。
でも私の頭は、良くなる手段は離婚しかない、と、もうそう完全に思い込んでいた状態でした。

なにより一番効いたのは「離婚しないと子供を不幸にする」という母の言葉だったと思います。
たぶんその言葉で私の罪悪感はピークに達しました。

そんな、店と家庭での最悪な緊張状態が続いたある日のことです。
いよいよきっかけとなる事件は起こりました。

私は下の子を週一で通っていたサッカークラブに送って行った後、
『帰って来てからお腹がすくだろう』と思ってスーパーのパン屋さんでサンドウィッチを買って帰りました。
そしてそれをテーブルの上に置いておいたのですが・・
事務所からちょうど出て来た旦那さんがそのパンを見つけ、それについて私にいろいろ訊き始めたのです。

私は普通に「スーパーの中のパン屋さんで買って来ちゃった。サッカー終わったら子供がお腹すくだろうからすぐ食べれるように。」
とかなんだとか答えたと思います。

・・ところがそれを聞いた旦那さんは怒りまじめました。
「こんなものいつまでも子供に食わせ続ける気かよ!何度言ったらわかるんだよ!
こんな毒ばっかり買って来やがって!殺す気かよ!!」
そしてそう言った後に、おもむろにそのサンドウィッチを床に叩きつけたのです。

・・今思うとその日たまたま何か仕事でストレスの溜まることがあったのかもしれませんし分かりませんが、
それにしても酷すぎる・・
子供のために買って来た食べ物を床に叩きつけるなんて私の中の常識ではあってはならない大罪です。
私は怒りで震えました。
そしてその叩きつけられてグチャグチャになったサンドウィッチを見ながら、ついに私の中の何かがプツンと切れる感覚がしたのを覚えています。

・・・まあ、どちらも子供のことを思っていたということには変わりはないのです・・・。
旦那さんは旦那さんで添加物に対する危機感をすごく感じていて、子供にとってそんな危険なものを食べさせたくなかった、それだけです。
なのにいくら言っても平気な顔をして添加物満載であろう(知りませんが(笑))スーパーのサンドウィッチなど買って来て与えようとする私にプッツンきたんでしょう。
旦那さんは少し極端すぎる性質があるのは確かですが・・
それでもよかれと思ってやった行動です。

ただ、信じていたものがあまりにも違い過ぎました・・・。
・・そして、それを夫婦で近づける努力もしていませんでした・・。
なによりコミュニケーションを取っていなかったのだから当たり前なのですが・・
そもそも私は旦那さんを違う国の『敵』のように思っていて、話を聞く気も、コミュニケーションを取る気すらなかったのだと思います。
分かり合って意見をすり合わせていこうという考えなど全くなく、
間違っているであろう旦那さんの主張をどのように打ち負かし、家庭を正しい自分の主張で支配できるようにするかということばかりを考えていたように思えます。

・・まあこれも、夫婦の関係に於いてそのように同じようだった母の教えでもあるのですが・・・
これは後で書きます(笑)

そしてついに不信感が限界に達した私は、
その事件をきっかけに2、3日で荷物をまとめ、旦那さんが居ない時を見計らって子供達を連れて家を出たのでした。

旦那さんが道の駅に安全な野菜を買いに出かけていた時だったと思います・・・。

(つづく)

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